GPUとは何か

2026年9月16日
4分

一言で!

GPUとは、数千体の影分身ができるCPU、ナルト。

他には?

分身1体1体は単純な計算しかできない。ただし数が数千体いる。だから「同じ計算をひたすら繰り返す」場面では無類の力を発揮する。

GPUとは?

正式名称はGraphics Processing Unit(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)。

得意なのは、同じ計算が大量に並ぶ作業。

  • 画面の描画(画素ひとつひとつに同じ計算をする)
  • 動画の編集
  • AIの計算

CPU、NPUとの違いもここで分かれる。

NPUはAIを「動かす」こと(推論)に特化した専門家で、省電力で速いかわりにそれ専用。対してGPUは、AIを「育てる」段階(学習)から使える。

学習は膨大な計算をひたすら繰り返す作業なので、用途を限定せず大量の計算を回せるGPUが必要になる。AIを使うだけならNPUで足りるが、AIを作るにはGPUが要る——ここがGPUの最大の強みである。

しかもGPUは、もともとゲームの画面を描くための部品だった。それがいつの間にかAI時代の主役になっている。

豆知識

GPUがどう作られているかを、登場する名前ごとに1行で。

  • エヌビディア(NVIDIA)=GPUを設計している会社。自社に工場は持たず、設計に専念している。
  • TSMC=台湾の会社で、他社が設計したチップを預かって製造する世界最大の受託工場。NVIDIAのGPUもここで作られる(TSMCの会社概要)。
  • シリコンウェハ=チップの土台になる、シリコンを薄い円盤状に切り出した板。この上に回路を作り込んでいく。
  • フォトレジスト=ウェハに塗る、光が当たると性質が変わる薬剤。光を当てて回路の模様を写し取るために使う(imecによる解説)。

設計する会社と作る工場が分かれているのが、いまの半導体の基本形である。

歴史

GPUはもともと、3Dゲームの画面を描くための専用部品だった。1999年、NVIDIAが「GeForce 256」を世界初のGPUとして売り出し、それまでCPUが担っていた3Dの計算をGPU側へ移した(発売の経緯)。

やがて、「同じ計算を大量に並べて一気に片づける」というGPUの性質は、画面描画以外にも使えることが分かってくる。2006年から2007年にかけてNVIDIAがCUDAを公開し、GPUを一般の計算に使う道が開けた(NVIDIAによるCUDAの解説)。

決定打は2012年。AlexNetという画像認識のプログラムが、市販のGPU2枚で学習させた結果コンテストで圧勝し、AIの学習にGPUが欠かせないことが一気に知れ渡った。ゲーム用の部品だったGPUが、AIの土台へ移っていく分かれ目になった。

まとめ・私見

単純作業しかできない。頭脳担当のCPUには敵わない。それでも数で押し切る。

ゲームのグラフィック処理という地味?な役回りから始まって、AIに必要不可欠なものへと存在感を増して、気づけば世界を支えている。まるで異世界転生の主人公。

あっちは下火だが、こっちはまだ熱い!

年表

年代・年主な出来事主な人物・組織主な国・地域特徴
1979〜1982年3Dの計算を専用チップに任せる「ジオメトリエンジン」が作られるジム・クラーク、マーク・ハンナら(スタンフォード大学)アメリカ「座標の変換や画面外の切り落としといった、3D描画で毎回出てくる決まった計算を、汎用の計算機ではなく専用チップにやらせる」というアイデアから始まった。1982年のSIGGRAPHで発表され、同じ年にクラークらがシリコングラフィックス(SGI)を創業して製品にした。いまのGPUの直系の祖にあたる。[SIGGRAPHによる論文の記録](https://history.siggraph.org/learning/the-geometry-engine-a-vlsi-geometry-system-for-graphics-by-clark/)
1987年TSMCが創業するモリス・チャン台湾他社が設計したチップを預かって製造する「受託工場」という商売を成り立たせた。設計だけの会社でもチップを作れるようになり、後のNVIDIAのような会社が生まれる土台になった。[TSMCの会社概要](https://www.tsmc.com/english/aboutTSMC)
1999年「世界初のGPU」GeForce 256が発売されるNVIDIAアメリカ3Dの計算をCPUから引き取る専用部品として登場した。この時点での用途はゲームの画面描画である。[発売の経緯](https://www.tweaktown.com/news/100271/nvidia-geforce-256-aka-worlds-first-gpu-is-now-25-years-old-released-on-october-11-1999/index.html)
2006〜2007年CUDAが公開されるNVIDIA(イアン・バック、ジョン・ニコルズら)アメリカGPUを画面描画以外の一般的な計算にも使えるようにした。GPUが「絵を描く部品」から「計算する部品」へ広がる入口になった。[NVIDIAによるCUDAの解説](https://docs.nvidia.com/cuda/cuda-programming-guide/01-introduction/introduction.html)
2012年AlexNetがGPU2枚で画像認識コンテストを圧勝するアレックス・クリジェフスキー、イリヤ・サツケバー、ジェフリー・ヒントンカナダAIの学習にGPUが決定的に効くことが広く知られた転換点。ここからGPUはゲーム部品ではなくAIの基盤として扱われるようになる。
現在AIを育てる土台になるNVIDIA、AMD、Intelなど世界各国AIを動かすだけならNPUでも足りるが、AIを学習させる側ではGPUが中心にあり続けている。