一言で!
特性要因図とは
因果関係のあれこれを、大中小引っくるめて受け止めてくれる懐の深いツール。
ジュディ・オング。
他には?
とにかくなんでも、原因になりそうなもの、ぶっ込んでみよう。
最初は適当でいい。あとで整頓してね。
特性要因図とは?
英語ではcause and effect diagram。その独特の形から、魚の骨とも呼ばれる。
名前の「特性」は、結果のこと。
「要因」は、その結果を生んでいそうな原因のこと。
特性と要因の関係を整理した図だから、特性要因図という(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。
特性要因図は、QC活動で使う「QC七つ道具」の一つ。パレート図で一番強い困りごとを決め、特性要因図でそれがなぜ生まれたかの候補を並べ、チェックシートで数えて確かめる。この順でつながっている。
作り方
右端の頭に困りごとを書き、そこへ向かう背骨に大きな骨を何本か生やし、大きな骨に中くらいの骨、さらに小さな骨をつけていく。
困りごとは、「悪い結果」で、具体的であればあるほどいい。
例えば「仕事が遅い」ではなく、「月末の集計が止まる」。
複数人で最も大きな要因を特定するときに効果を発揮する。進め方は4段階だ。
- 出す:思いついたものは、なんでも、バラバラに、好きに置いていい。
- まとめる:出揃った要因をみんなで見て、似たものはまとめ、不要となったものは消す。
- 並べる:まとめた要因を大きな骨に振り分け、大→中→小と順番に並べていく。
- 決める:並んだ候補のどれが効いているかを、話し合いで当たりをつけ、データで確かめて決める(並べただけでは、原因は決まらない)。
出した直後は、こんなふうに散らかっていていい。似たものも、関係なさそうなものも混じっている。
似たものをまとめ、要らないものを消して、大→中→小に並べ直すと、こうなる。
大きな骨の切り口には定番がある。4M(人・機械・材料・方法)だ。
まとめた要因を4Mの大きな骨に振り分け、それぞれ「それはなぜか」を繰り返して、中くらいの骨、小さな骨へと並べていく。
大きな骨は4〜6本くらいがちょうどいい(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。
最初は、はねない
筆者がQC活動で、みんなで特性要因図を作っていたときのこと。1人が、ほかの人が付け足した小骨を勝手にはねて、整理し始めた。
出かかっていた意見は、そこで止まった。そのときのイライラは、あとで一人で特性要因図に落とし込んだ。懐の深い図は、腹の虫まで受け止めてくれた。
みんなで骨を出すときは、ブレーンストーミングの4つのルールが効く(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。
- 批判しない:ほかの人の意見を否定しない
- 自由に:どんな思いつきでも取り上げる
- 量を多く:数は多いほどいい
- 便乗する:ほかの人の意見に乗っかって、さらに出す
整頓するのは、全部出し切ってからだ。抜けがないかを見直し、「それはなぜか」の向きが逆になっていないかを確かめ、影響が大きそうな要因に印をつける。この順番を飛ばして、最初から整頓しない。
並べただけでは、原因は決まらない
懐が深いぶん、特性要因図は何でも受け止める。
受け止めたものの中で、どれが本当の原因かまでは教えてくれない。
図に並んでいるのは、原因の「候補」だ。どれが効いているかは、話し合いで当たりをつけ、データで確かめて決める(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。
豆知識
- 石川馨: 品質管理の研究者(1915〜1989)。東京大学教授。QCサークルを生み、「QCサークルの父」と呼ばれる(石川馨先生生誕100年(日本科学技術連盟))。
- 『魅せられて』: ジュディ・オングの1979年の曲。この年の日本レコード大賞を受けた(デイリースポーツ、2018年12月27日)。いまも歌うときは、両手を広げる白い衣装を着る(週刊女性PRIME)。
歴史
はじまり
特性要因図を考えたのは、東京大学で品質管理を研究していた石川馨だ。1953年、川崎製鉄の葺合工場で使われたのが始まりとされる(年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生(日本科学技術連盟))。
石川はその前年の1952年に、品質管理の分野の賞であるデミング賞の本賞を受けている(同年譜)。
現場の道具になる
1962年、職場の人が自分たちで品質を良くする小さなグループ、QCサークルが生まれる(日本科学技術連盟「QCサークル誌」)。作り方が簡単で、紙とペンがあればどこでも描ける特性要因図は、職場の話し合いの道具として広く使われていく。
いま
いまも、4Mや5M1Eで大きな骨を立て、「それはなぜか」で小さな骨を足していく作り方が、品質管理の講座で教えられている(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。
まとめ・私見
すぐに整理したがる、すぐに主要因を断定したがる。
しかし、せっかちに特性要因図は微笑まない。
とりあえず、全部できるまで粘ろう。
何回考えてもここだ、という要因を絞ろう。
一人でやるなら日にちをかけてもいい。
年表
| 年代・年 | 主な出来事 | 主な人物・組織 | 主な国・地域 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 1915年 | 石川馨が生まれる | 石川馨 | 日本 | 東京で生まれる。のちに東京大学で品質管理を研究し、日本の品質管理を引っ張った一人になる。[年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生](https://www.juse.jp/ishikawa/ningen/Chronology_20150519.pdf) |
| 1947年 | 石川馨が東京大学の助教授になる | 石川馨 | 日本 | 翌1948年から、大学院生らと統計的な方法の勉強を始める。[年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生](https://www.juse.jp/ishikawa/ningen/Chronology_20150519.pdf) |
| 1952年 | 石川馨がデミング賞本賞を受ける | 石川馨 | 日本 | 品質管理の分野の賞。同じ年、通産省の日本工業標準調査会の臨時委員も務めている。[年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生](https://www.juse.jp/ishikawa/ningen/Chronology_20150519.pdf) |
| 1953年 | 石川馨が特性要因図を考案する | 石川馨 | 日本 | 川崎製鉄の葺合工場で使われた。結果と原因の候補の関係を、魚の骨の形に書き出す。[年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生](https://www.juse.jp/ishikawa/ningen/Chronology_20150519.pdf) |
| 1962年 | QCサークルが生まれる | 日本科学技術連盟 | 日本 | 職場の人が自分たちで品質を良くする小さなグループ。特性要因図は、その話し合いの道具になっていく。[日本科学技術連盟「QCサークル誌」](https://www.juse.or.jp/qc_circle/about/) |
| 現在 | 4M・5M1Eで骨を立てる作り方が教えられている | 日本科学技術連盟 | 日本 | 特性を「悪さ」で書き、4Mや5M1Eで大骨を立て、「それはなぜか」で小骨を足す。要因はデータで確かめて絞る。[恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」](https://www.juse.or.jp/upload/files/shanai_rensai_Q7_05.pdf) |