特性要因図とは何か

2026年10月20日
7分

一言で!

特性要因図とは

因果関係のあれこれを、大中小引っくるめて受け止めてくれる懐の深いツール。

ジュディ・オング。

他には?

とにかくなんでも、原因になりそうなもの、ぶっ込んでみよう。

最初は適当でいい。あとで整頓してね。

特性要因図とは?

英語ではcause and effect diagram。その独特の形から、魚の骨とも呼ばれる。

名前の「特性」は、結果のこと。

「要因」は、その結果を生んでいそうな原因のこと。

特性と要因の関係を整理した図だから、特性要因図という(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。

特性要因図は、QC活動で使う「QC七つ道具」の一つ。パレート図で一番強い困りごとを決め、特性要因図でそれがなぜ生まれたかの候補を並べ、チェックシートで数えて確かめる。この順でつながっている。

作り方

右端の頭に困りごとを書き、そこへ向かう背骨に大きな骨を何本か生やし、大きな骨に中くらいの骨、さらに小さな骨をつけていく。

困りごとは、「悪い結果」で、具体的であればあるほどいい。

例えば「仕事が遅い」ではなく、「月末の集計が止まる」。

頭(困りごと)の書き方の比較。上はぼんやりした頭「仕事が遅い」で、何がいつ遅いのか分からず、どこに骨を生やせばいいか決まらない。下は具体的な頭「月末の集計が止まる」で、いつ何が起きるかが分かり、「それはなぜか」を問えるので骨はここから生やせる、という図

複数人で最も大きな要因を特定するときに効果を発揮する。進め方は4段階だ。

  1. 出す:思いついたものは、なんでも、バラバラに、好きに置いていい。
  2. まとめる:出揃った要因をみんなで見て、似たものはまとめ、不要となったものは消す。
  3. 並べる:まとめた要因を大きな骨に振り分け、大→中→小と順番に並べていく。
  4. 決める:並んだ候補のどれが効いているかを、話し合いで当たりをつけ、データで確かめて決める(並べただけでは、原因は決まらない)。

出した直後は、こんなふうに散らかっていていい。似たものも、関係なさそうなものも混じっている。

出した直後の状態。右の「月末の集計が止まる」のまわりに、「古い集計マクロ」「手順書がない」「マニュアルがない」「空欄が混じる」などの付箋がバラバラに貼られ、似たもの同士や「エアコンが寒い」「昼休みが短い」のような関係なさそうなものも混じっている図

似たものをまとめ、要らないものを消して、大→中→小に並べ直すと、こうなる。

まとめて並べ直した後の特性要因図。右の頭に「月末の集計が止まる」、4本の大骨に人・機械・材料・方法。大骨には「手順を知る人が1人」「古い集計マクロ」「書き方がバラバラ」「手順書がない」などの中骨が左右交互に、中骨には「引き継ぎがない」「作った人が退職」などの小骨が上下交互に生えた魚の骨の図

大きな骨の切り口には定番がある。4M(人・機械・材料・方法)だ。

まとめた要因を4Mの大きな骨に振り分け、それぞれ「それはなぜか」を繰り返して、中くらいの骨、小さな骨へと並べていく。

大きな骨は4〜6本くらいがちょうどいい(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。

最初は、はねない

筆者がQC活動で、みんなで特性要因図を作っていたときのこと。1人が、ほかの人が付け足した小骨を勝手にはねて、整理し始めた。

出かかっていた意見は、そこで止まった。そのときのイライラは、あとで一人で特性要因図に落とし込んだ。懐の深い図は、腹の虫まで受け止めてくれた。

みんなで骨を出すときは、ブレーンストーミングの4つのルールが効く(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。

  • 批判しない:ほかの人の意見を否定しない
  • 自由に:どんな思いつきでも取り上げる
  • 量を多く:数は多いほどいい
  • 便乗する:ほかの人の意見に乗っかって、さらに出す

整頓するのは、全部出し切ってからだ。抜けがないかを見直し、「それはなぜか」の向きが逆になっていないかを確かめ、影響が大きそうな要因に印をつける。この順番を飛ばして、最初から整頓しない。

並べただけでは、原因は決まらない

懐が深いぶん、特性要因図は何でも受け止める。

受け止めたものの中で、どれが本当の原因かまでは教えてくれない。

図に並んでいるのは、原因の「候補」だ。どれが効いているかは、話し合いで当たりをつけ、データで確かめて決める(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。

豆知識

歴史

はじまり

特性要因図を考えたのは、東京大学で品質管理を研究していた石川馨だ。1953年、川崎製鉄の葺合工場で使われたのが始まりとされる(年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生(日本科学技術連盟))。

石川はその前年の1952年に、品質管理の分野の賞であるデミング賞の本賞を受けている(同年譜)。

現場の道具になる

1962年、職場の人が自分たちで品質を良くする小さなグループ、QCサークルが生まれる(日本科学技術連盟「QCサークル誌」)。作り方が簡単で、紙とペンがあればどこでも描ける特性要因図は、職場の話し合いの道具として広く使われていく。

いま

いまも、4Mや5M1Eで大きな骨を立て、「それはなぜか」で小さな骨を足していく作り方が、品質管理の講座で教えられている(恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」(日本科学技術連盟))。

まとめ・私見

すぐに整理したがる、すぐに主要因を断定したがる。

しかし、せっかちに特性要因図は微笑まない。

とりあえず、全部できるまで粘ろう。

何回考えてもここだ、という要因を絞ろう。

一人でやるなら日にちをかけてもいい。

年表

年代・年主な出来事主な人物・組織主な国・地域特徴
1915年石川馨が生まれる石川馨日本東京で生まれる。のちに東京大学で品質管理を研究し、日本の品質管理を引っ張った一人になる。[年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生](https://www.juse.jp/ishikawa/ningen/Chronology_20150519.pdf)
1947年石川馨が東京大学の助教授になる石川馨日本翌1948年から、大学院生らと統計的な方法の勉強を始める。[年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生](https://www.juse.jp/ishikawa/ningen/Chronology_20150519.pdf)
1952年石川馨がデミング賞本賞を受ける石川馨日本品質管理の分野の賞。同じ年、通産省の日本工業標準調査会の臨時委員も務めている。[年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生](https://www.juse.jp/ishikawa/ningen/Chronology_20150519.pdf)
1953年石川馨が特性要因図を考案する石川馨日本川崎製鉄の葺合工場で使われた。結果と原因の候補の関係を、魚の骨の形に書き出す。[年譜 日本のTQCと歩みをともにした石川先生](https://www.juse.jp/ishikawa/ningen/Chronology_20150519.pdf)
1962年QCサークルが生まれる日本科学技術連盟日本職場の人が自分たちで品質を良くする小さなグループ。特性要因図は、その話し合いの道具になっていく。[日本科学技術連盟「QCサークル誌」](https://www.juse.or.jp/qc_circle/about/)
現在4M・5M1Eで骨を立てる作り方が教えられている日本科学技術連盟日本特性を「悪さ」で書き、4Mや5M1Eで大骨を立て、「それはなぜか」で小骨を足す。要因はデータで確かめて絞る。[恵畑聡「QC七つ道具の活用ポイント 第5回 特性要因図」](https://www.juse.or.jp/upload/files/shanai_rensai_Q7_05.pdf)